厚生年金を受給しながら働く65歳以上の高齢者の厚生年金と賃金の合計が50万円を超えた場合、超過分の半分を厚生年金からカットする仕組みです。2021年度末の対象者は、65歳以上で働く受給者の約17%に当たる49万人となっております。
現在の年金制度は、日本国内に住んでいる20歳以上60歳未満の全ての人が加入する国民年金と、勤め人が最長で70歳まで加入する厚生年金の二階建てとなっていますが、在老は厚生年金だけが対象です。そのため、原則65歳から支給される老齢基礎年金(国民年金)が賃金の額によって停止されたり減額されたりすることはありません。
厚生年金の加入期間は70歳までですが、被保険者でなくなったとしても厚生年金の適用事業所に勤めて給料を得ている限り、在老の仕組みは引き続き適用になります。
在老の減額対象者は〝働き損〟にならないよう就業時間を調整することも多いです。そのため対象者だけでなく、人手不足に悩む事業者からも制度の見直しを求める声が上がっています。ただ、在老によって減額された年金の合計額は年4500億円に及び、制度の縮小や廃止に当たっては、その分の財源が必要になります。
5年に一度の公的年金制度の改革に向けた検討が始まっているので、在老についても何らかの動きがありそうです。
(エヌピー通信社提供)